あらゆる悩みを消す方法が仏教にはある

はじめに

 こんにちは。

 コロナウィルスも収まらないまま、熊本の大雨による災害が発生したりと、不安が重なるようになってきた。不安が多い時期には宗教が人の心の支えになることがある。私自身は無宗教だが、宗教自体にとても興味があり、本もいくつか読んでいる。今回はその中の、人々の悩みを消すためのブッダの考え方を実践する方法について書かれた本『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」(草薙龍瞬)』の内容をまとめて行く。特に、不安やストレスなどの悩みに対して、どう向き合えば良いかについてまとめていく。

 

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

 

そもそも、悩みはどう生じるのか?

 人には、生きている限り、タンハー(tanha)と呼ばれる、喜びを求める心がある。このタンハーにより私たちは次の7つの欲を持つ。

  • 生存欲 
  • 睡眠欲 
  • 食欲 
  • 性欲 
  • 怠惰欲(ラクをしたい)
  • 感楽欲(音やビジュアルなど感覚の快楽を味わいたい)
  • 承認欲(認められたい)

 これらの欲が満たされた時に快(喜び)を得ることができるが、逆に、欲が満たされないときに不快になり、悩みが生じる。では、欲をなくすか、欲を全て達成することで悩みを解決できるのではないか、と考える人がいるかもしれないが、仏教の解決策は全く異なる。そもそも、タンハーは生きている間ずっと私たちの中にあり、欲を生み出し続けるし、全ての欲を達成するなど現実的ではない。では、どのように仏教では悩みを解決していくのだろうか。

 

悩みの解決方法は「反応」にあり

 仏教では悩みを消すために、欲と欲に対する結果(快や不快)の間に、「反応」という段階を設けている。この反応を変えることで、不快を減らし、悩みを消すのだ。

 日常的に私たちは様々な欲求にかられたり、誰かと競い合って落ち込んだり勝ち誇ったり、承認されようと躍起になったりする。そういったものは全て、私たち自身の欲に対する反応に他ならならない。そして、その反応によって悩みが生じる。

 仏教では、そういった無駄な反応を無くし悩みを消すためには、自分の心の状態をきちんと見ることが必要だとしている。心の状態をきちんと見れれば、冷静にその心(悩み)を見ることができる。その結果、その悩みにそれ以上悩まなくなる。少し宗教くさく感じるかもしれないが、実践してみてほしい。神も何も信じる必要はない。自分は何に悩んでいるのか、何にどう反応しているのかを分析をしてみてほしい。悩みによって視野が狭まってる状態から出ることができれば、きっと悩みが軽くなることが感じられるだろう。

 

無駄な反応をなくすために心を見る具体的な方法

(1)言葉で確認する

 自分の心の状態について、「イライラしている」、「心がざわついている」、「頭が疲れている」のように、客観的に確認する。心の状態をあるがままに捉える。また、「自分は今、掃除をしている」と自身の行動についても客観的に言葉にする。自身のありのままを客観的に言葉にして確認することで無駄に反応してしまう事を抑えられるようになる。

 

(2)カラダの感覚を意識する

 自身の体の五感で感じ取れる事を意識する。例えば、何気ない呼吸では口や鼻から息の出て行く感覚、お腹の膨らみなどです。(1)と(2)は仏教ではサティ(sati)と呼ばれ、マインドフルネスとして広まっているものです。

 

(3)分類する

 自分の心を分類する。基本的には以下の3つに分類。

  • 貪欲: 欲が大きい事。求めすぎている事。
  • 怒り: 欲が満たされないことに対して不快、不満を感じていること。
  • 妄想: ぼんやりと思い浮かぶこと。これがダントツで多い。
    妄想は、体の感覚に集中することで抑えられる。

 分類することで、自身の心を客観的に見やすくなる。

 

以上の3つの方法で、無駄な反応を無くし、結果的に悩みをなくすのである。


反応をなくすことは、人として大丈夫なのか?

 読者の中には、何に対しても反応がない人に対して、人間味がないようと思う人がいるのではないか?確かに、無駄な反応をなくす話ばかりを聞いていると、悩みが減るかもしれないが、人としての温かみがなくなる気がしてくる。しかし、ブッダは世界と向き合う心構えに、以下の4つをあげている。

  • 慈: 相手の幸せを願う心
  • 悲: 相手の苦しみや悲しみに共感する心
  • 喜: 相手の喜びや楽しさに共感する心
  • 捨: 手放す心、反応しない心

 つまり、反応しない心は世界と向き合う心の内の1つでしかなく、他の3つの心は相手がいる事を前提としている。捨については上で述べたので、ここからは、反応しない心のまま、他の心も持つ方法について簡単に述べる。

 慈: 何かを相手に教えるときは、真実で相手にとって価値のある事を伝えるべき時に伝える。ただ、相手のためになる事に絞ることが難しい。自分に都合の良い方向に相手を操作することや、自身の正しさを認めさせようとすることは、承認欲求に反応した結果である。そのため、真実で、相手にとって価値のあることである必要がある。

 悲と喜: 相手の気持ちのただ理解する。しかし、怒りの気持ちを向けられた時に、怒りを返すなどの無駄な反応をしてはいけない。自身の心を前半分と後ろ半分に分け、前半分を相手の理解に向けつつ、後ろ半分を自分の心に向け、無駄な反応をしないようにする。

 

おわりに

 今回は、自身の悩みの消し方から始め、悩みを抑えつつ他者と関わる心構えについてまとめたが、いかがだっただろうか。私自身、欲は少ない方と思っているが、人気なものに惹かれる人や、常識に振り回される人を見て、自分も多数側に合わせないといけないかな?と不安になることがあった。しかしこの本を読み、自身が無駄な反応をしていることがわかった。この本は、自分を肯定できていない多くの人に人に読んでもらいたい。

 仏教は人生にとって大切な「考え方」を追求した哲学の要素が強い。そのため、仏教の考え方の結びつきを全て紹介することができなかった。この本には他にも目標を達成するために役に立つ八正道の考え方や、人生の5つの妨げなど、今回紹介しきれなかった実践的な考え方が載っているので、興味のある方は是非手にとっていただきたい。

ではでは。

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

子どもの言葉の発達から探る「使える英語」を身につける方法

はじめに

 こんにちは。
 街中で英語の学習の広告を見ることから、AIの発達で翻訳機の能力が格段に上がりつつある状況でも、英語を話したいというニーズがある事が伺える。そういった英語を身に付けたい人たちに向けて、そもそも言葉を身につけるとはどういう事かを書いた本の『ことばの発達の謎を解く (今井むつみ)』を紹介する。この本では主に、子どものことばの発達について書いているが、英語の修得についても書いているので、その部分をまとめていく。


ことばの発達の3段階

 

1. 発見

 発見とは、単語の意味を発見することではなく、言葉のシステム、つまり言語の中のルールや法則、単語のつながりの存在の発見することである。具体的には、「〇〇する」はいつも動作を表していることや、「が」や「は」の前にはいつも名詞が来ること、または単語の法則(ピッチャーとキャッチャーとバッターの伸ばし棒)などがある。

 

2. 創造

 創造とは、発見によって見つけたルールや法則に則って自分が知っている単語から新しい言葉を作ることである。子どもが創造した言葉の例として、飛行機のことを空飛ぶ車と表現したり、シラサギのことを白いカラスと表現したりする。

 

3. 修正

 修正とは、自身で創造した言葉や表現が誤っている場合、周りの大人などにあわせるように修正することである。創造の過程を経て物事を理解し、その物事の表現を修正する。


単語を覚えるだけでは身につかない、使える英語を身につける方法

 この言葉の発達の段階に沿った学習で、使える英語を身に付けることができる。なぜなら、全ての言語にはそれぞれのシステムがあり、それを理解して学習することで正しい言語を身に付けられるためだ。

 通常の英語学習では、日本語を基準にして英語を勉強する。例えば、「wear」なら「着る」などのように、英単語の意味を日本語の単語に当てはめて勉強する。この方法では英語の正しいシステムを理解することができない。実際、あなたは「wear」と「着る」がどこまで同じなのかご存知ですか?香水をつけることに「wear」を使えるが、香水を「着る」とは日本語では言うことはない。また、「着る」は”服を着る動作”と”服を着ている状態”の両方に使えるが、英語では服を着ている状態にしか「wear」は使えない。ちなみに服を着る動作には「put on」を使う。表にしてまとめると以下のようになる。つまり、同じ意味だと思っていても、言語によって単語が使える意味の範囲が異なるのである。

 

日本語の「着る」

英語の「wear」

着ている状態

着る動作

× (→put on)

香水

× (→香水をつける)


 このように、自身の持っている言語に当てはめるのではなく、英語内の言葉どうしのつながりを知り、言語としてのシステムを理解することで、正して英語が身に付く。また英語のシステムの法則を理解することで、自身の知っている言葉から新しい言葉を創造したり、新しく出会った言葉の意味を類推できるようになり、さらにこれを周りの人のに合わせるように修正していくことでどんどん精度を上げていくことができる。このように、英語の言語としてのシステムを理解した上で学習する事で「使える英語」が身につくのである。


おわりに

 今回、『ことばの発達の謎を解く (今井むつみ)』の、英語の学習の内容に繋がる部分を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。私自身は、翻訳機の性能が十分なレベルにすぐに達すると考えているので、英語の学習をする気はあまりなかったのだが、この本を読み、それぞれの言語のシステムを理解することがその言語圏の理解に役に立つのではないかと考えるようになった。

 この本には、子どもの言語の発達について具体的な例(子どもの言い間違いなど)や研究結果が載っている。子供達の「言葉の発達」が私たちのイメージするものとは全然違い、驚かされると思いう。お子さんがいらっしゃる方は一度読んでみると、子どもの言葉の変化を楽しめるようになると思う。気になる方は是非手に取って見てください。

 ではでは。

 

ユニクロの光と影

 

はじめに

 皆さんにとってユニクロのイメージはどんなものですか。私にとってユニクロは、デザイン的にも機能的にも使いやすい服を安く売っている会社だ。さらに最近では、コロナの状況に合わせて「エアリズムマスク」を出したことや、ユニクロ会長の柳井さん個人的が京都大学に100億円を先寄付したことなど、とてもポジティブな印象がある。

 このユニクロと柳井さんの良い面も悪い面を書いた本が『ユニクロ帝国の光と影 (横田増生)』だ。2011年の6月に出版されたため、情報としては古いかもしれない事を念頭に置いて読んでください。

 

 


ユニクロの光の部分


 企業としてユニクロはとても大きな成功を収めていると言える。この成功の元が以下の3つである。
 ・SAP(原材料の調達から小売までを一貫して行う事)
 ・ABC(オール・ベター・チェンジ)革命
 ・3段階に分けた発注

 

SAP(原材料の調達から小売までを一貫して行う事)


 GAPが成功を収めた方法。通常の小売ではメーカー→卸→小売といった製品の流れある。しかし、アパレル業界ではヒットすねる商品がわからないため、各場所で過剰在庫が生じる。SAPを導入し、一括で管理することで、この無駄を大きく減らすことが出来る。その結果、低価格を実現する。さらに自社で完結しているため、リスクの最大値を把握でき、売れ残った商品を値下げしやすいと言ったメリットが出てくる。

 

ABC(オール・ベター・チェンジ)革命

 ユニクロの「選択と集中」がABC革命である。ABC革命のポイントは、いかに売れる商品を早く特定し、早く作るかとなる。そのために、品番数を少なくし、それぞれの発注数を多くする。そのためには、委託工場を厳選し、各工場への注文数を多くすることになり、工場側からすると、ユニクロが重要なお得意様になる。さらに、工場にユニクロの社員を送り込み、日本の店舗で得られた情報と現場の進捗とのつながりを作り、小回りのきく発注を行なっている。

 

3段階に分けた発注


 完成した商品の企画として発注するのが通常の小売であるが、ユニクロはこれを3つの段階に分けている。1つ目の段階は原材料、2つ目の段階は生地の種類と色、そして最後が商品の企画としての発注である。こうすることで、初期に企画していた服の売れ行きが悪くても、2つ目の段階で方向転換することができる。通常の発注では、方向転換できずに大量の在庫が出来上がるのを待つだけとなる。

 以上の方法でユニクロは、無駄のないサプライチェーンで、商品数を少なくして売れる商品に注力しつつ工場とのつながりを強め、ハズレ商品を避けることのできる発注を可能にしている。


ユニクロの影の部分

この本の多くが、影の部分について書かれているが以下の2点についてまとめる。


国内の店舗と海外の工場の長時間労働
柳井さんのワンマン


国内の店舗と海外の工場の長時間労働

 この本の出版後、ユニクロは出版社を訴えている。それは、この本の中に、ユニクロの店長と海外工場の従業員に、ユニクロ長時間労働をさせていたことが書かれていたためである。結局はユニクロの敗訴となった。この本によると、店長は月300時間の長時間労働、海外工場では日付が変わるまで残業をさせていたことが書かれていた。海外工場の長時間労働は、ABC革命により、ユニクロが大口顧客となったことも影響している。

 

柳井さんのワンマン

 ユニクロ=柳井さんという図式がある。後進育成を行ったり、異業種からヘッドハンティングして現場を任せたとしても、数年すれば柳井さんが復帰しご破算にしている。例えば、玉塚さんを社長の後任にし、柳井さん自身は取締役となった3年後、玉塚さんが安定成長思考をとった事を理由に社長を解任している。解任の理由は、減収減益ではなく、あくまで、柳井さん自身の中にある「正常な危機感」によるものである。


おわりに

 著者の横田さんはジャーナリストで、柳井さん、ユニクロの社員やアルバイトへのインタビュー、柳井さんの著書を元にユニクロ(=柳井さん)についてまとめ内容を本にした。私はこれを読んだ後、「柳井さんやユニクロが一般に公開しているコンプライアンスCSRに対して、何も信じられそうにないな」と感じた。
 一度失った信頼を回復させるのは大変だが、現状のユニクロがこの本をきっかけにどう変わっていったのかを知りたくなった。

 ユニクロは今後も、注目したい企業である。

 

 

 

雑草 -最もしたたかな植物-

はじめに

 こんにちは。
 Kindleがセールで安くなっていて、つい再加入してしまいました。NEWS weekの日本版も読めるのでイメンな本が読みたいビジネスマンにもいいですね ^^ 。

 さて、本を買うときは、私はよくKindleのセールの時に、なんとなく気に入った本を買っています。とくに植物に関する本を見つけた時は、とりあえず買います。なぜかと言うと、植物はとても身近だけれど、意外と知らない側面が多く、驚かされることが多いからです。

 今回紹介する本は、『雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略 (稲垣栄洋)』です。あなたにとっても、雑草は身近だけれど良く知らないものではないでしょうか。この本に書いてあった、雑草の意外な面をまとめて行こうと思います。

 


1. 雑草は他の植物よりも弱い!

 植物を育てている人は「そんなわけないだろう!」と思いますよね。抜いても抜いても何度もしつこく生えてくる、なんなら逆境に負けない人を雑草魂なんて言葉で表すのに、雑草が弱い植物と言われても実感がないと思います。しかし、事実として、雑草は他の植物より弱い植物なのです。
 森の中のように、様々な植物が生えている環境では、実は雑草はほとんど生えません。なぜなら、穏やかに見える森の中でも、植物の間では生存をかけた光と水と栄養の取り合いが行われていて、雑草はその競争に勝てないからです。
 では、なぜ我々の周りで雑草をよく見るのでしょうか。それは雑草が人の手の入った土が得意な領域だからです。何度も土をほじくり返されたり、芝刈り機で刈り取られると、多くの植物は絶滅します。しかし、その競争相手がいなくなった環境でこそ生きられるのが雑草なのです。
 どういうことかを説明するために、植物の成功要因を3つに分類した「C-S-R三角形理論」を紹介します。C-S-Rとは、以下の3つの頭文字をとったものです。

  • Competitive: 競争(光や水や栄養の取り合い)に強い
  • Stress: ストレスに強い(サボテンなど)
  • Ruderal: 撹乱(環境が掻き乱されること)に強い

 このうちの1つ、もしくは複数を持つことが植物の成功に欠かせないそうです。雑草は、Competitiveで勝てない弱い植物ですが、Ruderalが断トツに高いので競争のない場所で成功できるのです。

 

2. 雑草は多様性が高い!


 多様性の要因には遺伝と環境の2つがあります。この遺伝的要因と環境的要因の両方による変化が雑草はとても高いのです。
 遺伝要因の例として、雑草は発芽のタイミングを計ることが挙げられます。発芽に必要な3条件の水、酸素、温度が揃えば多くの植物は発芽するのですが、雑草はさらに光が必要なのです。周りに植物があって、自分のいる場所が影になっていれば、発芽しないのです。面白いですね!
 環境要因の例として、ゴルフ場のスズメノカタビラが、フェアウェイ、ラフ、グリーンなどで穂をつける高さが変わることが挙げられます。これは、それぞれの芝の刈り取りの高さに届かないくらいに雑草自身で調整している為です。

 

3. でも、雑草は最もしたたかな植物!

 まともに他の植物と競争せず、遺伝的にも環境的にも多様な雑草ですが、実はとってもしたたかな点があります。それは、子孫を残すことです。
 自身の持っている資源をどれだけ種子の生産に回かを表す、繁殖分配率という指標があります。雑草はこの繁殖分配率がどんな環境でも最適になっているのです。「そんなの生物にとって当たり前では?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。栽培される野菜や花では、養分が少ないと生きるためにその資源を使い、花を咲かせないことや、逆に養分を与え過ぎれても、茎や葉ばかりが育ち、結局は花を咲かせないことがあります。つまり、環境によっては種子を残さなくなるのです。しかし、雑草は栄養が少ない場合から、あり過ぎる場合まで、種子を残します。しかも適切な資源の配分で。雑草ってすごい子孫を残すことにしたたかなのです!


最後に


 この書籍は中高生向けに書かれているため、表現がとても平易で、イラストも可愛らしいです。しかし、内容はとても面白く、人生に対して示唆的な部分もあります。雑草が、他の植物との競争を避け、環境に自分を合わせてばっかりだけれども、したたかに一生の目標をブラさずにいきていると知ったときは、憧れを感じました。
 本当の雑草の魂とは、逆境に負けないことではなく、自身でも勝てる場所を探し、人生の目標をしたたかに追い続けることであると感じました。

 

デジタル時代にモノづくり企業さえ変えていくカスタマーサクセスとは?

 こんにちは。まだニックネームは決めていませんが、記事は書いていきます。


 今回は、書籍『カスタマーサクセスとは何か 日本企業にこそ必要な「顧客とのつきあい方」』の内容について自分なりにまとめたものを書いて行きます。

 

 タイトルの通り、ビジネス系の本です。特にIT系の例が多いのでIT関係の方はとても興味深く読めると思います。私自身はメーカー勤務をしているのですが、モノづくり企業にとってもカスタマーサクセスが大事だという事が述べられていたので、そこを軸にまとめていきます。


カスタマーサクセスとは?

 まず、書籍のタイトルになっているカスタマーサクセスについて、筆者は以下のように記しています。

 「カスタマーサクセスとはいったい何か?」と聞かれた時に「カスタマーセントリックな企業文化、ないしそれが根付いた企業のあらゆる活動そのもの」と説明することがある。少し乱暴な独自の定義だが、重要なのは企業文化こそカスタマーサクセスの魂という点だ。「カスタマーセントリックな企業文化」とは、デジタル時代に無くてはならない存在になるために、カスタマーの成功を絶えず追求することを重視する価値観、ないしそれが組織に浸透していることだ。

弘子ラザヴィ. カスタマーサクセスとは何か日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

 

少々長いのですが、特に大事なポイントをまとめると以下の3つです。

  1. 企業文化として醸成
    特定の部署だけでカスタマーサクセスを実践することはできません。会社全体の意識を変えて取り組む必要があります。モノづくり企業にとって、カスタマーサクセスを取り入れるには、まさしく抜本的な転換が必要となります。

  2. カスタマーにとって無くてはならないプロダクトを提供
    カスタマーの成功の為には無くてはならないほど重要なコトを提供する。単純にニーズを捉えるのではなく、それが無ければカスタマーが成功を失うほど重要な存在となることが大事です。

  3. カスタマーの成功を絶えず追求
    常にカスタマーの成功を分析し、カスタマーからデータを取得し、カスタマーにとっての成功を達成するように行動する。


なぜデジタル時代にカスタマーサクセスが大事なのか?

 デジタル時代にカスタマーサクセスが重要になっていく要因として、筆者は以下の4つのトレンドをあげています。

1. 世の中の値付け標準が成果ベースへシフト

2. 経済取引の選択権が利用者へシフト

3. 競合プロダクトの価値が「中毒になるレベル」へシフト

4.競合のゴールがカスタマーのライフタイムバリュー最大化へシフト

弘子ラザヴィ. カスタマーサクセスとは何か日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

 

それぞれについて簡単に説明して行きます。

 

  1. 世の中の値付け標準が成果ベースへシフト
    モノを所有することの価値から、モノやサービスを利用することから得られる成果に重点が移動する。

  2. 経済取引の選択権が利用者へシフト
    サブスクリプションサービスに代表されるように、利用者が使い始めるための費用が少なく、利用者が好きなタイミングでサービスを止められるものが多くなる。

  3. 競合プロダクトの価値が「中毒になるレベル」へシフト
    利用者が「無くてはならない」と思うほどのファンになるようなプロダクトを作ることが、今後の競争になる。

  4. 競合のゴールがカスタマーのライフタイムバリュー最大化へシフト
    カスタマーにとっての価値の増大のためにカスタマーから個人データを受け取ようになる。

 以上の4つのトレンドが、デジタル時代が進むにつれどんどん重要になってきます。そうなるとモノを売り切るだけのビジネスモデルから、より利用者にとっての価値を追求し、取捨選択しやすく、カスタマーの成果の根幹となり、常に成果が向上していくプロダクトが重要になってくるため、カスタマーサクセスを追求することそのものが、今後のトレンドに乗る上で重要になってくるのです。

では、モノづくりは必要なくなるのか?

モノの売り切りモデルがトレンドに合わなくなっていくと言っても、今後もモノを作る必要はあり続けます。しかし、モノづくり企業は以下の2つの点でプロダクツの主導権を失っていきます。

  1. 使用者からのプロダクツの認知の主導権
    成果に注目するサービスを利用している人にとって大事なのは、どこの会社が製品を作ったかではなく、どの会社のサービスを受けるかになります。「JRを使って移動した」と認識する人はいても、「日立製作所の電車で移動した」と認識する人はほぼいません。

  2. プロダクツの内容を決定する主導権
    デジタル時代で進んでいく4つのトレンドにより、カスタマーに成功を提供できる企業が利用者に変わってモノ作り企業から製品を買うことになります。そのため、モノづくり企業は、良いプロダクツを提供する会社に選んでもらう立場になり、プロダクツの内容を決定するための主導権を失います。

では、モノづくり企業は今後どうなっていくか?

 モノづくり企業の今後の変化として、以下の2つがあげられます。

  1. 良いプロダクツを提供する会社に、プロダクツ内容に適した製品を提供する

    シェアリングサービスで利用されるもの(自動車や自転車など)では、耐久性や信頼性が求められるようになる。そののように、これまでの個人向けの製品とは異なった性能が求められるようになる。

  2. 自社でカスタマーサクセスな企業になる
    モノづくり企業に大きく期待される内容ですが、以下の点を解決しなければなりません。

    • (a) モノに結びつくカスタマーの成功に関するデータの取得
    • (b) そのデータを利用したソフトウェアの提供

    (a)はアンケートではなく、本当にカスタマーの成功に製品がどのような影響を与えているのかを測らなければなりません。そのためにはカスタマーの成功を定義し、それに沿った成果を測定する必要があります。満足度ではなく成果であることが、これまでのモノの売り切りと大きく違う点になります。

最後に

 「所有から使用へ」という言葉や、トヨタの「モビリティーカンパニー」など、モノを利用者に買ってもらう時代からの変化が見える形で出てきています。シェアリングサービスなどを聞いていても、その重要なポイントを抑えられていなかったのですが、デジタル時代との相性がとても良いことと、今後のデジタル技術を活かしきるには、カスタマーサクセスの視点が必要になってくるのだとわかりました。

 さて、今回は『カスタマーサクセスとは何か 日本企業にこそ必要な「顧客とのつきあい方」』のモノづくり企業を軸にまとめましたがいかがでしたでしょうか。本書の中には他にも、具体的にカスタマーサクセスを実践するために必要になるリテンションモデルや、カスタマーの成功の定義の仕方、カスタマーの成功に向けて取り組む方法など、紹介できていないものが多くありますので、ぜひ興味のある方は読んでみてください。ちなみに、本書の中のテスラの例は、とっても面白いので、立ち読みでも読んでみてください。

はじめに

読書や生活の中で、ちょっとした気付きや思いつき、驚きを書いていこうと思っています。特に、読書をよくするので、本の紹介をよくするかもしれません。

 

理科系の内容が好きですが、社会的なものや宗教なんかも好きです。

読書が好きな方は是非是非お友達になれたらと思います。

 

よろしくお願いいたします。