雑草 -最もしたたかな植物-

はじめに

 こんにちは。
 Kindleがセールで安くなっていて、つい再加入してしまいました。NEWS weekの日本版も読めるのでイメンな本が読みたいビジネスマンにもいいですね ^^ 。

 さて、本を買うときは、私はよくKindleのセールの時に、なんとなく気に入った本を買っています。とくに植物に関する本を見つけた時は、とりあえず買います。なぜかと言うと、植物はとても身近だけれど、意外と知らない側面が多く、驚かされることが多いからです。

 今回紹介する本は、『雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略 (稲垣栄洋)』です。あなたにとっても、雑草は身近だけれど良く知らないものではないでしょうか。この本に書いてあった、雑草の意外な面をまとめて行こうと思います。

 


1. 雑草は他の植物よりも弱い!

 植物を育てている人は「そんなわけないだろう!」と思いますよね。抜いても抜いても何度もしつこく生えてくる、なんなら逆境に負けない人を雑草魂なんて言葉で表すのに、雑草が弱い植物と言われても実感がないと思います。しかし、事実として、雑草は他の植物より弱い植物なのです。
 森の中のように、様々な植物が生えている環境では、実は雑草はほとんど生えません。なぜなら、穏やかに見える森の中でも、植物の間では生存をかけた光と水と栄養の取り合いが行われていて、雑草はその競争に勝てないからです。
 では、なぜ我々の周りで雑草をよく見るのでしょうか。それは雑草が人の手の入った土が得意な領域だからです。何度も土をほじくり返されたり、芝刈り機で刈り取られると、多くの植物は絶滅します。しかし、その競争相手がいなくなった環境でこそ生きられるのが雑草なのです。
 どういうことかを説明するために、植物の成功要因を3つに分類した「C-S-R三角形理論」を紹介します。C-S-Rとは、以下の3つの頭文字をとったものです。

  • Competitive: 競争(光や水や栄養の取り合い)に強い
  • Stress: ストレスに強い(サボテンなど)
  • Ruderal: 撹乱(環境が掻き乱されること)に強い

 このうちの1つ、もしくは複数を持つことが植物の成功に欠かせないそうです。雑草は、Competitiveで勝てない弱い植物ですが、Ruderalが断トツに高いので競争のない場所で成功できるのです。

 

2. 雑草は多様性が高い!


 多様性の要因には遺伝と環境の2つがあります。この遺伝的要因と環境的要因の両方による変化が雑草はとても高いのです。
 遺伝要因の例として、雑草は発芽のタイミングを計ることが挙げられます。発芽に必要な3条件の水、酸素、温度が揃えば多くの植物は発芽するのですが、雑草はさらに光が必要なのです。周りに植物があって、自分のいる場所が影になっていれば、発芽しないのです。面白いですね!
 環境要因の例として、ゴルフ場のスズメノカタビラが、フェアウェイ、ラフ、グリーンなどで穂をつける高さが変わることが挙げられます。これは、それぞれの芝の刈り取りの高さに届かないくらいに雑草自身で調整している為です。

 

3. でも、雑草は最もしたたかな植物!

 まともに他の植物と競争せず、遺伝的にも環境的にも多様な雑草ですが、実はとってもしたたかな点があります。それは、子孫を残すことです。
 自身の持っている資源をどれだけ種子の生産に回かを表す、繁殖分配率という指標があります。雑草はこの繁殖分配率がどんな環境でも最適になっているのです。「そんなの生物にとって当たり前では?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。栽培される野菜や花では、養分が少ないと生きるためにその資源を使い、花を咲かせないことや、逆に養分を与え過ぎれても、茎や葉ばかりが育ち、結局は花を咲かせないことがあります。つまり、環境によっては種子を残さなくなるのです。しかし、雑草は栄養が少ない場合から、あり過ぎる場合まで、種子を残します。しかも適切な資源の配分で。雑草ってすごい子孫を残すことにしたたかなのです!


最後に


 この書籍は中高生向けに書かれているため、表現がとても平易で、イラストも可愛らしいです。しかし、内容はとても面白く、人生に対して示唆的な部分もあります。雑草が、他の植物との競争を避け、環境に自分を合わせてばっかりだけれども、したたかに一生の目標をブラさずにいきていると知ったときは、憧れを感じました。
 本当の雑草の魂とは、逆境に負けないことではなく、自身でも勝てる場所を探し、人生の目標をしたたかに追い続けることであると感じました。